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﨑津集落(熊本県天草市) 写真提供:(一社)天草宝島観光協会

祈りの記憶が息づく海辺の集落
 山と海に囲まれた美しい入り江に、小さな漁村がたたずんでいます。熊本県天草地方の﨑津さきつ集落は、隔絶された環境の中で人々が信仰を隠しながら暮らした場所です。
 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、キリスト教が弾圧された江戸時代に、密かに祈りを守り続けた潜伏キリシタンの歴史を伝える遺産群です。その中でも﨑津集落は、アワビなどの貝殻の模様を聖母マリアに見立てるなど、漁村ならではの独自の信仰形態を育んできました。長く厳しい"冬の時代"を耐え忍んだ後、明治期に禁教が解かれると教会が建てられます。現在の﨑津教会は、フランス人神父の強い願いで、かつて絵踏みが行われた庄屋役宅の跡地に移転されました。堂内は国内でも数少ない畳敷きで、日本と西洋の文化の融合を物語っています。
 この地にたどり着くのは容易ではありません。それでもこの集落を訪れた人は、穏やかな風景の奥に息づく祈りの記憶と、信仰を守り抜いた人々の静かな強さに触れ、深く胸を打たれることでしょう。

基本情報
■分類:文化遺産 ■登録年:2018年 ■所在地:長崎県、熊本県の6市2町(各市町に所在する12資産で構成) 
■アクセス(天草地方の﨑津集落):公共交通機関が不便なため、レンタカーやタクシー、「天草ぐるっと周遊バス」(天草空港・本渡バスセンター発着、要予約)を推奨

■最新の情報は以下よりご確認ください。
 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」公式HP https://kirishitan.jp/
 「天草の﨑津集落」については熊本県天草観光ガイドHP https://www.t-island.jp/

監修・文 本田陽子
世界遺産ライター・解説者。60か国、200か所の世界遺産を訪問。世界中の文化や自然に触れた経験をもとに、各地の魅力や最新情報を伝えている。「絵本のようにめくる世界遺産の物語」(昭文社)監修、NHK出演など